Nikkol group Nikkol Group News Letter

 

言うは易し、行うは難し。

Easier said than done.

言うは易し、行うは難し。
Easier said than done.


日本語では有名なこのことわざ。原文は、今から約2000年前の書物、『塩鉄論』という中国漢代の経済書にさかのぼる。
『塩鉄論』は、戦争や土木事業などの積極策で国家財政が圧迫された漢の武帝時代に、塩・鉄・酒に対する専売制度や課税の実施をめぐり論争が行われ、その記録をのちの皇帝が討論形式にまとめた古書。その一節に、「言う者は必ずしも徳有らず。何となれば、これを言うは易くして、これを行うは難ければなり」というくだりがある。

先進国家の企業、個人にとって、最も大きな課題の一つが、「地球環境の保全」であることは言うでもない。私たちニッコールグループも、「GCS+E」戦略-“GREEN”、“CLEAN”、“SUSTAINABLE”、“ECONOMY”-を製品戦略にすえ、環境に配慮した素原料を使用し、エネルギー、廃棄物の排出を低減することで、環境に負荷を与えることなく、持続可能かつ経済性の優れた商品を設計・生産することに取り組んでいる。主力事業である化粧品原料、医薬品添加剤はもちろん、食品、洗剤、インキ塗料、油剤、一般工業向けの原料に至るまでの製造や販売を通じて、この「GCS+E」を推進し、より幅広い分野で人々の暮らしと持続可能な社会づくりに貢献していきたいと考えている。
―しかし、これこそまさに、「言うは易し、行うは難し」である。

2015年3月、当社那須事業所では、ソーラーパネルを導入した。GCS+E戦略の一環として、工場で使っている電力を太陽光発電でまかなおうという試みである。当社のような、相応の電力を使用する「工場」を持つ企業が、太陽光発電に積極的に取り組んでいけば、地球環境の保全にとってよいことは明らかである。しかし、それを実践する企業は、まだ極めて少ない。なぜなら、そこに、「言うは易し、行うは難し」の壁があるからだ。

ソーラーパネルの設置には、相応の敷地と時間と費用がかかる。当社那須事業所の場合、約1,500平方メートル従業員の駐車場をつぶし、稼働までに約1年の歳月を要した。しかし、このソーラーパネルによる発電でまかなえる電力は、工場で必要とする電力の10%に過ぎない。「効率」だけを追及する考え方からは、決して「ソーラーパネルの導入」という施策は生まれない。

同様の事例は、那須事業所だけでもいくつかある。
たとえば、東京大学小林教授チームとの産学連携プロジェクトによって独自開発した「反応装置」を、工場で使用している。この反応装置は、従来の反応装置にくらべて、エネルギー効率が高く、触媒が再生可能であるという利点を有し、設置スペースも小さい。「省エネ・省資源・省スペース」を実現する、環境配慮という点において画期的な反応槽であるが、企業レベルでの導入例は当社が初めてである。構想から10年の歳月と、相応のコストを費やしている。

「言うは易し、行うは難し」の壁をいくつ超えることができるか―そこに、リーディングカンパニーとしての資質が問われると、私たちは考えている。
中国で漢の時代から始まった塩・鉄・酒に対する専売制度や課税制度は、その後2000年経った今も、国家財政の基盤の一つとして世界各国で採用されている。しかし、当制度を世界で最初に実施した国家に対する人民の反発は、すこぶる大きかったに違いない。もし、当時の中国が、「一時の政権の安定」という目先の利得だけを求め、当制度を机上の空論に終わらせていた国家だったならば、以後数世紀にわたって世界のリーディングネーションの地位を築くことはなかったかもしれない。

いいね!
▲ページTOPへ